No.223 「AIで簡単に稼げる」「Kindleで不労所得」の見分け方 公的機関の事例に出てくる言葉と、著名人のなりすまし広告
国民生活センターの事例には「AIを使って副業で稼ぐ」広告から高額講座に進んだ例や、「初期費用0円」の副業で電子書籍代を請求された例がある。警察庁の統計では2025年のSNS型投資詐欺は9,538件、被害額1,274.7億円で、著名人の画像を無断で使った広告が確認されている。宣伝の言葉と、お金を払う向きで見分ける。
本文と出典
あらまし
生成AIや Kindle出版は、実際に個人が自宅で取り組める仕事である。その一方で、「AIに任せれば放置で稼げる」「Kindleで不労所得」といった言葉で講座や教材を売る宣伝も多い。どこまでが本当の仕事で、どこからが危ない勧誘かを、公的機関が確かめた事例から整理する。2026年10月時点の資料にもとづく。
どんな仕事か
本物の Kindle出版は、自分で原稿を書いて Amazon KDP に登録し、売れた分の印税を受け取る仕事である(id 1〜29)。AIを使う仕事も、文章や画像の作成を請け負うなど、成果物を売って対価を得る(id 51〜69)。危ない勧誘では、売られているのは成果物ではなく「稼ぎ方」で、お客は副業を始めたい人自身である。
見分けるための手順
・1. お金の向きを見る。仕事を始める前に、自分が教材代、サポート代、講座代を払うことになっていないか。
・2. 宣伝の言葉を見る。「放置で」「誰でも」「1日10分」「すぐ元が取れる」など、手軽さと確実さだけを強調していないか。
・3. 総額と解約条件を見る。月額表示の裏に1年契約や分割の総額が隠れていないか。
・4. 名前を出している著名人の公式サイトや公式アカウントで、なりすましの注意が出ていないかを確かめる。
・5. 迷ったら、契約前に消費者ホットライン188で消費生活センターに相談する。
公的機関の事例
国民生活センターの2026年9月の発表には、「AIを使って副業で稼ぐ」というSNS広告から1万円の情報商材を買い、その後のWeb会議で「講座代は1、2カ月ですぐに取り戻せる」と言われて約80万円のオンラインAI講座を契約した20歳代の例がある。動画を見ても儲かる内容とは思えず、36回払いのクレジットだけが残った。センターは、AI講座やSNS運用講座などのビジネス講座の相談が増えていると指摘している。
2023年10月の発表には、「1日1万円簡単に稼げる副業」の広告からメッセージアプリに登録し、「初期費用0円」と説明されたのに、断ると受け取ってもいない電子書籍代約2万円を請求された例が載っている。同じ発表の別の例では、「アフィリエイトで簡単にもうかる」という約3,000円のマニュアルを買った後、約60万円のプランを契約し、ブログを毎日書いても稼げなかった。
Kindle出版そのものを入口にした勧誘を名指しした公的機関の資料は、今回の調べでは見つからなかった。ただ、上の事例と同じく、安い電子書籍やマニュアルを入口に高額なサポートへ進む形は、Kindle出版を題材にしても成り立つと考えられる。
著名人のなりすまし広告
警察庁によると、2025年のSNS型投資詐欺の認知件数は9,538件(前年比48.7%増)、被害額は1,274.7億円(同46.3%増)だった(暫定値)。最初に接触した手段はバナーなどの広告が3,760件、ダイレクトメッセージが3,576件で、合わせて全体の約8割を占める。警察庁は、2025年3月以降にバナー広告からの被害が増え、著名人の画像や動画を無断で使った広告や、「必ずもうかる」「元本保証」といった文言を含む広告が確認されたとしている。
国民生活センターも2026年9月、SNSで著名人が勧める“もうかる方法”のトラブルに注意を呼びかけた。有名実業家がもうかる方法を教えるという広告から投資グループに入り、約400万円を送金した60歳代の例がある。センターは、投資資金の振込先に個人名義の口座を指定されたら詐欺だとしている。副業の講座でも、著名人の写真を使った広告には同じ用心が要る。
Amazon KDP の決まりとの関係
KDP のヘルプでは、AIで生成した文章、画像、翻訳を含む本を出すときは申告が必要とされている。後から大きく手を加えてもAI生成とみなされる。自分で書いた原稿をAIで校正したり、アイデアだけ得て自分で書いたりした「AIアシスト」は申告不要である。どちらもコンテンツガイドラインと知的財産の決まりに従う必要があり、従わない本は却下や削除の対象になる。「AIで量産して放置」という宣伝は、こうした決まりを説明していないことが多い。
向く人・向かない人
AIや Kindle出版を自分で調べ、無料の公式ヘルプを読んで試せる人は、高額な講座に頼らなくても始められる。逆に「教えてもらわないと何もできない」と感じる人ほど、高額なサポートの勧誘に乗りやすい。
落とし穴
受講者の成功体験として示される収入の数字は、根拠が示されていないことが多く、事実として受け取れない。「今日だけの特典」で急がせる、Web会議で長時間説明して判断力を奪う、支払いのために分割やクレジットを勧めるのは、公的機関の事例に繰り返し出てくる手口である。
くらさんの考察
「AI」「Kindle」は中身ではなく、勧誘の入口の看板として使われていると考えられる。看板が変わっても、安い入口、高額な本契約、支払いのための借金という流れは情報商材の時代から変わっていない。見分けるときは看板の新しさではなく、お金の向きと総額を見るのが確実である。
ジージへの問いかけ
・ジージは、「Kindleで不労所得」という言葉を聞いて、どこに引っかかりを感じますか。
・著名人の写真が付いた広告を見たとき、本物かどうかをどう確かめますか。
・無料の公式ヘルプだけで始めるのと、有料の講座で教わるのとでは、どちらが自分に合うと思いますか。
出典
・国民生活センター 報道発表資料「ビジネス講座のトラブルにご注意」(令和8年9月16日) https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20260916_3.pdf
・国民生活センター 【20代特に注意!】簡単に稼げるという副業(2023年10月27日) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20231027_1.html
・警察庁 令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値) https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/260213/03.html
・国民生活センター SNSで著名人が勧める“もうかる方法” それって本当!?(2026年9月) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260901_1.html
・Amazon KDP ヘルプ コンテンツガイドライン https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200672390
この記事を読んで浮かんだ疑問は、運営者ジージが仕事QAでくらさんに質問し、答えをそこに載せていきます。