No.36 海外へ送る送料と関税 米国の少額免税は止まり、2026年10月15日から米国あて郵便は事前申告が要る
米国は2025年8月29日からすべての国の少額輸入品の免税(デミニミス)を止め、2026年7月24日からは郵便物の新しい輸入手続きを始めた。日本郵便は2026年10月15日から米国あて郵便物の引受けを原則全郵便局に広げ、2,500ドル以下の物品は認定事業者を通じた事前申告と関税の前払いを求めている。国際郵便で送れない品物があり、輸出は日本の消費税が免除される。
本文と出典
あらまし
海外へ品物を売ると、送料と、届け先の国の関税が問題になる。
とくに米国は2025年から2026年にかけて制度を何度も変え、日本からの郵便の送り方も変わった。
この記事では、日本郵便の国際郵便、米国の少額免税(デミニミス)の停止、国際郵便で送れない品物、日本の消費税の輸出免税を、2026年10月時点の公式の情報で整理する。
どんな仕事か
越境ECの売り手は、売れた品物を海外の買い手に届けるところまで責任を持つ。
送り方は、日本郵便の国際郵便(EMS、国際小包、小形の郵便物)、国際宅配便(クーリエ)、モールの専用配送(eBay の SpeedPAK など)から選ぶ。
EMS は国際郵便で最も速いサービスで、120以上の国と地域へ、30kgまでの書類と荷物を送れる。
国際小包は大きな荷物向けで、航空便か船便を選べる。
始め方
・1. 売る前に、品物が国際郵便で送れるかを日本郵便の「国際郵便で送れないもの」と国別の禁制品の一覧で確かめる
・2. 国際郵便のラベルは「国際郵便マイページサービス」で作る。手書きのラベルでは送れない
・3. 米国あては、認定事業者(Zonos か SafePackage)のアプリかウェブサイトで事前申告し、関税を前払いする
・4. 宛名ラベルに「DDP」と13桁の申告番号を載せる。自動で印字されないときは手書きで書く
・5. 郵便局の受領証と送り状の控えを7年間保存する(消費税の輸出免税の証明になる)
米国のデミニミスの扱いの変化
米国にはもともと、1人が1日に受け取る800ドル以下の輸入品の関税を免除する制度(デミニミス)があった。
米国税関・国境警備局(CBP)の2026年6月24日付の暫定最終規則によると、2025年7月30日の大統領令14324で、すべての国について少額免税が停止され、2025年8月29日から停止が続いている。
2026年2月20日に米国の最高裁が非常時の経済権限による追加関税を認めない判断を出したが、同じ日の大統領令14388で少額免税の停止は続けられた。
この規則で、郵便で届く800ドル以下の品物の少額免税は期限を定めずに停止され、2,500ドル以下の郵便物に新しい輸入手続きが設けられた(2026年7月24日施行)。
規則は、2025年7月の法律(One Big Beautiful Bill Act)でデミニミスそのものが2027年7月1日に廃止されることにも触れている。
つまり、米国の個人あての小さな荷物にも、原則として関税がかかる状態が続く。
日本郵便の米国あての取扱い
日本郵便は2026年10月15日から、米国あて郵便物の引受けを原則としてすべての郵便局(国際郵便を扱わない簡易郵便局を除く)に広げた。
CBP は2,500ドル以下の物品を含むすべての郵便物に事前申告を求めており、これまで対象外だった100ドル以下の個人間の贈り物も含まれる。
手紙と郵便葉書は事前申告が要らない。
100ドル以下の書類や個人間の贈り物は、申告は要るが免税で、100ドル以下のその他の物品と100ドル超2,500ドル以下の物品は申告と課税の対象になる(最終的な判断は米国の税関)。
2,500ドルを超える物品は事前申告が要らず、届け先で輸入者が関税を払う。
認定事業者の手数料は、免税になる場合も含めてかかる。
事前の支払いは差出人と認定事業者の取引で、日本郵便は操作方法の案内をしない。
国際郵便で送れない品物
日本郵便は、全世界共通で送れない代表例として、スプレー缶、香水、花火、マニキュア、電子タバコ、モバイルバッテリー、アルコール度数24%超の酒などを挙げている。
航空危険物(引火性の液体、高圧ガス、ライター、ドライアイスなど)は船便でも送れない。
リチウム電池は、機器に組み込まれ条件を満たすものに限り、一部の国へ送れる。
貴金属や宝石、硬貨は EMS では送れず、書留か保険付きで郵便の種類と国によって送れる場合がある。
届け先の国ごとの禁制品もあり、牛肉が禁止の国ではカップ麺やカレーも送れない場合がある。
消費税の輸出免税
国税庁のタックスアンサーによると、日本から輸出する品物の販売は消費税が免除される。
郵便で送る場合、価格が20万円以下の小包や EMS なら、日本郵便の受領証と送り状の控え(差出人、品名、価格、宛先、引受日が分かるもの)で証明できる。
20万円を超える郵便物は、税関の輸出許可書が要る。
課税事業者は、輸出のための仕入れにかかった消費税を確定申告で差し引ける(インボイス制度のもとでは帳簿と適格請求書の保存が必要)。
消費税の免税事業者には差し引きの仕組みは関係しないので、自分がどちらに当たるかは税務署か税理士に確かめる。
向く人・向かない人
向くのは、制度の変更を公式のお知らせで確かめる習慣がある人、手数料と関税を値段に入れて計算できる人である。
郵便局の窓口に持ち込めば手続きは進むが、事前申告はアプリやウェブサイトで行うので、スマートフォンかパソコンの操作は欠かせない。
向かないのは、規則が変わるたびに調べ直すのがつらい人、関税の見込み違いを受け止められない人だ。
落とし穴
関税の前払いをせずに米国へ送ると、受け取りの際に買い手が関税を求められ、受け取り拒否や返金の求めにつながる。
品物の価格を実際より低く申告するのは違法である。
香水やスプレー缶、モバイルバッテリーを「少しだから」と入れると、航空危険物として扱われる。
米国の制度は2025年から2026年にかけて何度も変わっており、今後も変わる可能性がある。
くらさんの考察
米国あての小さな荷物は、売り手が関税を前払いする形が当たり前になったと考えられる。
認定事業者の手数料が1件ごとにかかるため、数千円の品を一つずつ送る商売ほど利益が削られる。
送料と関税の手間を考えると、米国以外の国に売ることや、まとめて高めの品を送ることを考える人が増えると考えられる。
ジージへの問いかけ
1件ごとに事前申告の手数料がかかることを、値段にどう載せればよいと思いますか。
スマートフォンのアプリで関税を前払いする作業を、自分でやれそうでしょうか。
米国の規則がまた変わるかもしれないとき、売り先を米国以外に広げることをどう考えますか。
出典
・米国税関・国境警備局(CBP)暫定最終規則「Indefinite Suspension of the De Minimis Exemption for Mail Shipments and New Postal Informal Entry Process」2026-12669 https://public-inspection.federalregister.gov/2026-12669.pdf
・日本郵便「米国宛て郵便物の引受け対象の拡大(2026年10月15日から)」 https://www.post.japanpost.jp/service/send/oversea/information/2026/1014_01.html
・日本郵便「国際郵便で送れないもの」 https://www.post.japanpost.jp/service/send/oversea/attention/restriction/
・日本郵便「EMS(国際スピード郵便)」 https://www.post.japanpost.jp/service/send/oversea/list/delivery/ems/
・イーベイ・ジャパン「米国向け DDP 必須化」 https://www.ebay.co.jp/ddp-info
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