No.1000249新着 EU版「デミニミス」廃止が始まった——150ユーロ以下の小包にかかる3ユーロと、プラットフォームが「輸入者」になる改正
欧州連合(EU)が長く続けてきた「150ユーロ以下の輸入品は関税を免除する」という仕組みが、2026年7月1日で終わった。これ以降、EUの外から届く少額の小包には、暫定的に1件あたり3ユーロの関税がかかる。米国が8月に少額免税(デミニミス)
本文と出典
欧州連合(EU)が長く続けてきた「150ユーロ以下の輸入品は関税を免除する」という仕組みが、2026年7月1日で終わった。これ以降、EUの外から届く少額の小包には、暫定的に1件あたり3ユーロの関税がかかる。米国が8月に少額免税(デミニミス)を廃止した流れに続き、主要市場でまた一つ、個人が海外へ売るときの前提が書き換わった形だ。
何がどう変わったのかを、実際に小包を送る側の目線で整理しておきたい。欧州委員会(European Commission)は、今回の3ユーロを恒久的な税ではなく、2026年7月から2028年7月までの暫定措置と位置づけている。この期間が明けた後は、通常の関税率へ移行する見込みだと説明されている。
3ユーロは「小包ごと」ではなく「品目ごと」に近い
紛らわしいのが、3ユーロが何を単位に課されるかだ。欧州委員会やロイターの報道では「品目(アイテム)ごと」と表現される一方、物流各社の解説では「輸入申告の明細行ごと」「HSコード(関税分類)ごと」と書き方が分かれている。DHLやFedExの案内を読むと、同じ箱に異なる商品を詰めても、関税分類が一つにまとまれば3ユーロは1回で済み、分類が分かれれば積み上がっていく、という理解に近い。小包の個数で単純計算すると見積もりを誤るため、何をまとめて申告するかが実務上の分かれ目になる。
なぜ免税をやめたのか
EU理事会は廃止の理由として、少額免税のもとで域外から大量の無税の小包が流れ込み、域内の販売者が不利な競争を強いられてきた点を挙げている。加えて、安全基準を満たさない商品の混入や申告額の過少申告といった不正、輸送量の増加による環境負荷も理由に並ぶ。つまり3ユーロは税収そのものより、無税をあてにした大量輸入に歯止めをかける狙いが前面に出た措置だと読める。
プラットフォームが「輸入者」として責任を負う方向
もう一つの柱が、通販プラットフォームを商品の「輸入者」とみなし、通関や関税の納付に責任を持たせる考え方だ。これまで買い手個人が受け取り時に払っていた負担を、売る場を提供する側へ移す発想で、違反した事業者には重い制裁も想定されていると報じられている。さらに、3ユーロとは別に1個あたり2ユーロ前後の取扱手数料が2026年11月ごろに導入される見通しだが、「小包ごと」か「貨物ごと」かなど細部は情報源によって表現が揺れており、確定情報として扱うのは早い。
日本の個人セラーにとっての意味
EU向けに売る個人セラーの場合、関税を売り手が先に負担するDDP(関税込み)で送れば、買い手に後から追加請求は発生しないとされる。一方で、いったん支払った3ユーロは、商品が返品されても取り戻せないと案内されている。当サイトでは9月に米国側の免税廃止を取り上げたが、今回のEUはそれとは別の制度で、単価の低い商品を薄利で数多くさばく売り方ほど、1件3ユーロの重みが利益を削る構図になる。
国内のeBay輸出系ブログでも、SBIエクスポートクラブなどが少額貨物の通関や関税の事前確認を繰り返し話題にしている。ただしこの種の発信は自社ツールへの誘導を兼ねることも多いため、「こう対応すればよい」という各社の主張は、一次情報と照らし合わせて距離を置いて読むのが安全だ。
今回の改正に含まれる主な項目
・150ユーロ以下の輸入品に、1件あたり3ユーロの暫定関税(2026年7月〜2028年7月)
・プラットフォーム事業者を「輸入者」とみなし、通関・納税の責任を負わせる
・3ユーロとは別に、1個あたり2ユーロ前後の取扱手数料を2026年11月ごろ導入予定
・ルーマニア・フランス・イタリア向けは、固定関税と並行して各国独自の手数料が一時的に上乗せ
・B2B(事業者間)の輸入には、金額にかかわらず通常の関税率が引き続き適用
今日の話題動画
少額貨物の通関は、送り先のEUだけでなく、受け入れる日本側でも論点になっている。参議院議員の片山さつき氏は、チャンネル「片山さつき(さつきチャンネル)」の動画「越境ECの健全な発展と『適正通関』に向けた取り組み」(2026年10月6日公開、再生回数およそ3,968回)で、急増する少額輸入貨物をめぐり、税関とプラットフォーム事業者が連携して販売情報の把握や不正商品の規制を進める、という官民の取り組みを紹介している。EUの3ユーロ関税と同じく、少額貨物とプラットフォームの責任という論点が日本でも動いていることがうかがえる内容だ。
参考記事
・欧州委員会(European Commission)「Ensuring fairness and safety: €3 customs duty for low-value parcels」 https://commission.europa.eu/news-and-media/news/ensuring-fairness-and-safety-eur3-customs-duty-low-value-parcels-2026-06-29_en
・DHL「What to know about the EU’s 2026 Duty de minimis removal」 https://www.dhl.com/discover/en-cz/logistics-advice/import-export-advice/eu-2026-duty-de-minimis-removal
・FedEx「EU De Minimis Removal 2026: Customs Duty Changes & FedEx Shipping Guide」 https://www.fedex.com/en-hk/service-news/eu-customs-reform/de-minimis.html
・SBIエクスポートクラブ(越境EC・eBay輸出の解説サイト) https://sbimexportclub.com/
・片山さつき(さつきチャンネル)「越境ECの健全な発展と『適正通関』に向けた取り組み」 https://www.youtube.com/watch?v=V3MR1eJXuRY
(この記事は旧サイト shop.shizuku.net から移しました。元の記事: https://shop.shizuku.net/2026/10/10/eu-de-minimis-3-euro-duty-2026/)
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