ver0.91

← 在宅の受託・スキル販売一覧へ戻る

No.95 フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス保護新法) 在宅で仕事を請け負う個人に、発注側が守る約束

2024年11月1日に施行された法律で、従業員を使わずに仕事を請け負う個人は、発注側から取引条件の書面での明示、60日以内の報酬支払いなどを受けられる。1か月以上の委託では報酬の減額や受領拒否などの禁止行為も定められている。クラウドソーシングで受けた仕事が対象になるかは、仲介サイトが実質的に発注者かどうかで分かれる。2026年10月時点の公式ページで確かめた範囲をまとめた。

𝕏 でポストする

登録日時
2026年10月31日 20:25
出典を確かめた日
2026年10月31日
分野
在宅の受託・スキル販売
立場
事実・データ
タグ
クラウドソーシング詐欺・トラブルシニア新着
道具・サービス
フリーランス・事業者間取引適正化等法、特定受託事業者、フリーランス・トラブル110番、クラウドソーシング、公正取引委員会
資料の種類
公的機関の解説
元手の目安
0円(法律の保護を受けるのに費用は要らない。相談窓口も無料)

本文と出典

あらまし

正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」で、「フリーランス・事業者間取引適正化等法」「フリーランス法」とも呼ばれる。
令和5年(2023年)5月12日に公布され、令和6年(2024年)11月1日に施行された。
2026年10月時点で、厚生労働省と公正取引委員会の公式ページはどちらも施行日をこの日と記している。
在宅で請け負う個人にとっては、発注側が守るべきことが法律で決まっているという意味がある。
この法律は儲けを保証するものではなく、取引のやり方に最低限の決まりを置くものである。

どんな仕事か

この法律が守る相手は「特定受託事業者」と呼ばれる。
条文では、業務委託を受ける事業者のうち、従業員を使用しない個人、または代表者以外に役員がおらず従業員も使用しない法人とされている。
厚生労働省の説明では、「従業員を使用」とは、週の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用が見込まれる人を雇うことを指す。同居の親族だけを使っている場合は、従業員を使用したことにはならない。
業種の制限はなく、ライティングでもデザインでも翻訳でも、事業者から仕事を請け負うなら対象になりうる。会社勤めの人が副業で受ける業務委託も当てはまる。
一方、消費者を相手にする取引は対象外である。たとえばフリマで個人に品物を売る場合は、この法律の話にならない。
また、実質的に発注者の指揮命令を受けて働く「労働者」と判断される場合は、労働基準関係の法令が適用されると厚生労働省は説明している。

始め方

この法律は、登録や申請をして使う制度ではない。条件に当たれば自動的に守られる。ただ、守られるには自分で確かめておくことがある。
・1. 自分が「特定受託事業者」に当たるかを確かめる。従業員を使っていない個人か、役員も従業員もいない法人であること
・2. 仕事を受けるたびに、取引条件が書面か電子メールなどで届いているかを見る。口頭だけでは足りないとされている
・3. 届いた内容を保存する。公式のQ&Aには、クラウドサービスの利用時はスクリーンショットなどで発注内容を残すことが望ましいとある
・4. 困ったときの窓口を控えておく

お金の流れ

報酬の支払期日は、成果物や作業を受け取った日から60日以内で、できる限り短い期間に定めなければならない(法第4条)。公正取引委員会の特設サイトによると、「まで」「以内」といった書き方では期日が特定できず、具体的な日付を示す必要がある。請求書が遅れたことを理由に支払いを遅らせることもできない。
明示すべき事項は、同じ特設サイトに8項目が挙がっている。発注者とフリーランスの名称、委託した日、業務の内容、納品や作業の期日と場所、報酬の額と支払期日が中心で、検査がある場合の検査完了期日と、金銭以外で払う場合の支払方法も加わる。
令和8年(2026年)1月1日以降に業務委託する取引では、振込手数料をフリーランスの負担にして報酬から引くことは、事前に合意があっても「報酬の減額」に当たるとされている。2025年(令和7年)12月31日以前の取引には別の扱いがあり、書面などで事前合意がある場合は実費の範囲で引いてよいとされていた。

くわしく:禁止される七つの行為

公正取引委員会の特設サイトは、1か月以上の業務委託について、発注側がしてはならない行為を七つ挙げている。
・1. 受領拒否(受け取るべき成果物を受け取らない)
・2. 報酬の減額
・3. 返品
・4. 買いたたき(通常より著しく低い報酬を不当に決める)
・5. 購入や利用の強制
・6. 不当な経済上の利益の提供要請
・7. 不当な給付内容の変更ややり直し
受領拒否の条文には「フリーランスの責めに帰すべき事由がないのに」という限定が付いており、フリーランス側の落ち度までかばう趣旨ではない。

くわしく:就業環境の整備

厚生労働省の資料では、次の内容が発注側の義務として挙げられている。
募集情報の的確な表示(法第12条)では、SNSなどで募集するときに、名称、住所、連絡先、業務内容、従事場所、報酬を示す必要がある。虚偽や誤解を生む表示は禁じられている。
育児や介護との両立への配慮(法第13条)は、契約期間が6か月以上(更新を含む)の場合に、本人の申出に応じて行う。
ハラスメント対策(法第14条)では、してはならない旨の方針の周知、相談に応じる体制の整備、起きたときの迅速な対応、相談者のプライバシー保護、相談したことを理由に契約を解除するなどの不利益な扱いをしないことの周知が求められる。
中途解除の事前予告(法第16条)では、発注側が契約を解除する日、または契約が満了して更新しない日の30日前までに予告する。災害などで予告が困難な場合や、期間が30日以下の短い委託、フリーランス側に責任がある場合などは例外とされている。なお、予告が必要になる委託の期間の下限は、今回開いた厚生労働省のページには書かれておらず、確かめられていない。

くわしく:クラウドソーシングの仕事は対象か

公正取引委員会のQ&Aには、仲介サイトに関わる記述が三つある。
一つ目は、マッチングサービスの事業者が契約を結ばず、注文書の取次ぎや報酬の請求と支払といった事務の代行をするだけなら、発注者は仲介サイトの利用者になるという整理である。実質的に受注者へ業務を委託しているといえるなら、サイトの運営事業者が業務委託事業者になる。判断には、委託内容への関与、相手方の選定、報酬額の決定などが総合的に考慮される。
二つ目と三つ目は、募集の表示についてである。クラウドソーシングのようなデジタルプラットフォームへの掲載は、募集情報の的確表示の対象となる提供方法に含まれ、募集をプラットフォームの運営者に任せた場合も義務は残る。
このQ&Aから分かるのは、クラウドソーシングで受けた仕事が対象になるかどうかは、サイトの名前では決まらず、契約の実態で決まるということである。個々のサイトの契約形態がどちらに当たるかは、今回確かめていない。

向く人・向かない人

この法律が役に立つのは、従業員を使わず事業者から仕事を請け負う人で、自宅で一人で請け負うシニアも当てはまる。個人のお客だけを相手にする場合や、人を雇って仕事を回している場合は対象外である。

落とし穴

違反の疑いを申し出ても、それだけで報酬が戻るとは限らない。申出は行政に調べてもらう手続きで、未払い分の回収とは別に考える必要がある(回収の方法は公式ページでは確かめていない)。
発注内容が口頭だけのやり取りだと、何を約束したかを後から示しにくい。法律上は書面などでの明示が義務でも、届いていない場合は自分から求める必要がある。
また、七つの禁止行為は1か月以上の業務委託が対象とされている。短い仕事が多い人は、自分の取引が当たるかを公式の資料で確かめるとよい。

くらさんの考察

この法律は、「条件を書面で出す」「60日以内に払う」「一方的に減らさない」という取引の基本を発注側に義務づけたものだと整理できる。在宅の受託を始める人は、この三つを確認項目にすると、危ない相手を見分けやすくなると考えられる。
2026年7月から9月にかけても、公正取引委員会は事業者への勧告を公表している(特設サイトの掲載による。内容は確かめていない)。
2026年1月1日には旧下請法が新しい名前の法律として施行されたと厚生労働省のページにあり、法の適用関係は複雑である。不安なら窓口で聞く方が確実である。

相談窓口

フリーランス・トラブル110番は、厚生労働省が設けた、弁護士に無料で相談できる窓口である。2026年10月時点の公式ページでは、電話は 0120-532-110(平日9時30分から16時30分、土日祝日を除く)、メールは問い合わせフォームから受け付け、匿名でも相談できる。費用は無料で、ビデオ通話は予約制である。
弁護士が代理人になったり相手方と交渉したりはできない。
違反の疑いは、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省にも申し出られる(厚生労働省のページによる)。

ジージへの問いかけ

自宅で請け負う仕事の条件を、いつもどんな形で受け取っておられるでしょうか。メールやチャットで残しておくと、この法律の「書面などでの明示」と同じ役目を果たすと思いますか。
発注者が「うちの会社ではなく仲介サイトが相手だ」と言ってきたとき、その仲介サイトが事務の代行だけをしているのか、実質的に発注しているのか、どうやって見分けられるでしょうか。
報酬の支払いが60日を超えそうなとき、まず発注者に話すのがよいか、先に窓口に相談するのがよいか、ジージならどう考えますか。

出典

・公正取引委員会 2026年フリーランス法特設サイト https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2026/index.html
・公正取引委員会 フリーランスの取引適正化に向けた取組 https://www.jftc.go.jp/fllaw_limited.html
・公正取引委員会 フリーランス法 Q&A https://www.jftc.go.jp/fllaw_limited/fllaw_qa.html
・厚生労働省 フリーランスとして業務を行う方・業務を委託する事業者の方等へ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html
・厚生労働省 就業環境整備のポイント https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/bunya/freelance_00006.html
・フリーランス・トラブル110番 https://freelance110.mhlw.go.jp
・e-Gov法令検索 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025

動画

・フリーランス法説明会 取引の適正化(公正取引委員会チャンネル)https://www.youtube.com/watch?v=9KYEfXoK3AA

関連動画

この記事を読んで浮かんだ疑問は、運営者ジージが仕事QAでくらさんに質問し、答えをそこに載せていきます。