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No.57 AIと著作権、規約 文化庁の「考え方」と、各サービスの出力の扱い

文化庁の文化審議会の小委員会が2024年3月15日にまとめた「AIと著作権に関する考え方について」は、AIの学習と、生成物の利用と、生成物が著作物になるかを分けて考える。生成物を公開や販売する場合は通常と同じく「類似性」と「依拠性」で侵害かどうかが決まり、指示だけでボタンを押した生成物は著作物にならないとされる。主なAIサービスの規約は出力の権利を利用者に譲るか主張しないとするが、他人の権利を侵さない保証はしていない。

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登録日時
2026年10月24日 09:49
出典を確かめた日
2026年10月24日
分野
AIの仕事
立場
事実・データ
タグ
著作権新着生成AI新着画像生成新着ChatGPT新着Claude新着Gemini新着
道具・サービス
文化庁「AIと著作権に関する考え方について」、著作権法第30条の4、OpenAI 利用規約、Anthropic 利用規約、Microsoft サービス規約
資料の種類
公的機関の解説
元手の目安
やり方しだい

本文と出典

あらまし

AIで作った文章や画像を売る、納めるとき、二つの心配がある。
一つは、他人の作品の著作権を侵していないか。もう一つは、自分の作ったものに著作権があるのか、である。
文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会が2024年3月15日にまとめた「AIと著作権に関する考え方について」(以下「考え方」)が、現行の著作権法の当てはめ方を示している。
「考え方」は法的な拘束力を持たず、最終的な判断は裁判所がする、と文化庁の概要版は断っている。

どんな仕事か

この記事は特定の仕事ではなく、AIを使うすべての仕事に共通する決まりを扱う。
文章の請負(id 52)、画像の販売(id 53)、動画(id 55)のどれでも、ここに書く考え方が土台になる。

始め方

・1. 文化庁のサイトで「考え方」の概要版(17ページ)を読む。2024年7月31日には「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」も出ている
・2. 使うAIサービスの利用規約で、出力の権利と禁止事項を確かめる
・3. 売る先(素材サイトや仲介サイト)の規約で、AI作品の扱いを確かめる
・4. 作品ごとに、どんな指示を出し、どこを自分で直したかを記録しておく

お金の流れ

著作権の問題は直接の売上には現れないが、侵害すると、差止めや損害賠償を求められるおそれがある。
「考え方」は、権利者が侵害した者に対し、新たな生成や公開の差止め、生成物の廃棄を求められるとしている。

「考え方」の要点1 学習と生成を分ける

「考え方」は、AIの開発や学習の段階と、AIで生成して公開や販売する段階を分けて考える。
学習の段階では、著作権法第30条の4により、作品を鑑賞する目的ではない情報解析などの利用は、原則として権利者の許諾なく行える。
ただし、特定の作家の作品の創作的な表現をそのまま出力させることを目的にした追加学習のように、鑑賞する目的が併存する場合は、この規定は使えないとされる。
在宅で仕事をする人の多くはAIを使う側なので、関わりが深いのは次の生成と利用の段階である。

「考え方」の要点2 似ていて、元にしていれば侵害

AIで作った画像を SNS に載せる、印刷して売るといった利用は、通常の著作権侵害と同じ基準で判断される。
すなわち、既存の作品と創作的な表現が共通していること(類似性)と、既存の作品を元にしたこと(依拠性)の両方が認められれば侵害になる。
AIが既存の作品を学習していた場合、利用者がその作品を知らなくても、通常は依拠性があったと推認される、とされている。
「AIが勝手に作ったので知らなかった」は、そのままでは言い訳にならないということだ。
一方、作風や画風はアイデアであり、作風が似ているだけなら侵害にはならない。ただし、少数の作品からなる特定の作家の作品群に共通する創作的な表現が、生成物から直接感じ取れる場合は、侵害になりうるとされる。

「考え方」の要点3 AIで作ったものに著作権はあるか

人が何も指示しないか、簡単な指示だけで「生成」ボタンを押して出てきたものは、著作物に当たらないと考えられている。
人がAIを道具として使い、創作的な寄与をしたと認められれば著作物になり、利用者が著作者になる。
判断の要素として、創作的な表現を具体的に示す詳しい指示は寄与を認める方向に働くが、長い指示でもアイデアにとどまるなら影響しない、とされる。
生成の回数が多いこと自体や、複数の候補から選ぶだけのことは、寄与とは評価されない。ただし生成物を見ながら指示を直して試行を重ねた場合は、著作物と認められることもある。
人が生成物に創作的な加筆や修正をした部分には、通常、著作物性が認められる。

各サービスの規約に書かれていること(2026年10月時点)

OpenAI の利用規約(2026年1月1日発効)は、利用者がアウトプットを所有し、OpenAI が持つ権利があればすべて利用者に譲渡するとしている。同時に、出力は他の利用者と似ることがあり、その他人の出力には譲渡が及ばないとも書いている。
Anthropic の消費者向け利用規約(2025年10月8日発効)は、規約を守ることを条件に、出力について Anthropic が持つ権利があれば利用者に譲渡するとしている。
Microsoft のサービス規約(2026年9月30日発効)は、AIサービスの出力の所有権を主張しないとしたうえで、出力にどんな知的財産権があるかは利用者が自分で判断する必要があるとし、AI生成であることについて他人を誤解させることを禁じている。
Google の利用規約(2026年7月30日発効)は、ユーザーのコンテンツの所有権を主張しないとしているが、AIの生成物に限った定めは今回確認できなかった。また、Google のAI生成コンテンツを機械学習モデルの開発に使うことを禁じている。
どの規約も「会社が持つ権利を渡す」と書くだけで、出力が他人の著作権を侵していないことまでは保証していない。

向く人・向かない人

向くのは、自分が出した指示と手直しの記録を残し、似た作品がないかを検索で確かめる手間をかけられる人である。
向かないのは、有名なキャラクターや作家の名前を指示に入れて「それっぽい」ものを作り、そのまま売ろうとする人だ。Adobe Stock は、プロンプトにアーティスト名やキャラクター名を入れることを禁じている(id 53)。

落とし穴

AIで作ったから著作権フリー、とは言えない。既存の作品に似ていれば侵害になりうる。
逆に、自分のAI作品に著作権がない場合、他人にまねされても権利を主張しにくい。
実在の人物の顔や声に似せたものは、著作権とは別に、肖像やパブリシティの権利の問題になる。
個別の作品が侵害に当たるかは、弁護士や、文化庁が案内する法律相談の窓口に確かめる。

評価の分かれる点

どこまで手を加えれば「創作的な寄与」になるかは、「考え方」も個別の事情しだいとしており、はっきりした線はない。
「考え方」自体も、判例が少ない中での公表時点の見解であり、今後見直しうるとされている。

くらさんの考察

AIを道具として使い、指示を具体的にし、出力に自分の手を入れるほど、著作物として守られやすく、侵害の心配も減ると考えられる。
AIの出力をそのまま売る使い方は、権利が自分に残らない上に他人の権利を侵す危うさがあり、在宅の仕事としては分の悪い形である。

ジージへの問いかけ

・AIで作った絵に著作権が認められないことがあると聞いて、意外に思いましたか
・「作風をまねるのはよいが、表現をまねるのはだめ」という線引きを、納得できますか
・AIで作ったと表示する決まりは、法律で一律にあった方がよいと思いますか

出典

・文化庁「AIと著作権」(資料の一覧) https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html
・文化庁「AIと著作権に関する考え方について」概要(令和6年4月、PDF) https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94057901_01.pdf
・OpenAI 利用規約 https://openai.com/ja-JP/policies/row-terms-of-use/
・Anthropic Consumer Terms of Service https://www.anthropic.com/legal/consumer-terms
・Microsoft サービス規約 https://www.microsoft.com/ja-jp/servicesagreement
・Google 利用規約 https://policies.google.com/terms?hl=ja
・Adobe Stock 生成AIコンテンツのガイドライン https://helpx.adobe.com/jp/stock/contributor/submit-your-content/submit-generative-ai-content/generative-ai-content-guidelines.html

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