No.2 KDP のロイヤリティと読み放題 35%と70%の分かれ目、読まれたページで分ける基金
Amazon.co.jp の電子書籍は、税込99〜20,000円なら35%、税込250〜1,650円で KDP セレクトに登録すれば70%のロイヤリティになり、70%では配信コスト(1MBあたり1円)が引かれる。KDP セレクトは90日間 Kindle 本を Amazon だけで売る約束で、その代わり読み放題で読まれたページ数に応じた分配を受けられる。
本文と出典
あらまし
KDP の電子書籍で著者に入るお金は、売れた本1冊ごとのロイヤリティと、読み放題で読まれたページ数に応じた分配の2つである。
どちらを受け取れるかは、値段と KDP セレクトに登録するかどうかで決まる。
以下は2026年10月時点の KDP ヘルプで確かめた数字である。
どんな仕事か
売るのは電子書籍1冊ごとの利用権で、読者は Amazon.co.jp で買うか、読み放題の会員として読む。
著者が決めるのは希望小売価格と、KDP セレクトに入るかどうかの2点である。
始め方
・1. 本の「価格設定」画面で、35%か70%のロイヤリティを選ぶ
・2. 70%を選ぶなら、Amazon.co.jp の価格を税込250〜1,650円に収め、KDP セレクトに登録する
・3. KDP セレクトには本ごとに登録する。期間は90日で、自動更新を切らない限り続く
・4. 登録から3日以内なら取り消せる
お金の流れ
35%のロイヤリティは、消費税などを除いた希望小売価格の35%である。
Amazon.co.jp で選べる価格は税込99〜20,000円とヘルプにある。
70%のロイヤリティは、消費税などを除いた価格から配信コストを引いた額の70%になる。
日本の配信コストは1MBあたり1円で、どんなに小さいファイルでも最低1円かかる。
日本の読者への販売で70%を受け取るには、KDP セレクトへの登録が要る。
ブラジル、メキシコ、インドも同じ扱いである。
70%を選ぶ場合、電子書籍の価格は同じ本の紙版より少なくとも20%低くしなければならない。
Amazon が他店の安い値段に合わせて値下げすると、価格が条件を外れて35%になる。
著作権の切れた作品(パブリックドメイン)は35%しか選べない。
くらさんの試算では、税込500円で2MBの本の場合、消費税10%を除いた価格はおよそ455円になる。
70%なら(455円−2円)×0.7でおよそ317円、35%ならおよそ159円で、1冊あたりの差は2倍近い。
ロイヤリティの支払いは、販売月の末日からおよそ60日後である。
KDP セレクトと読み放題
KDP セレクトは、Kindle 本を90日間 KDP(と公共の図書館)でのみ販売する約束である。
紙の本など他の形式は、他の店で売り続けてよい。
その代わりに、本が読み放題の対象になり、無料キャンペーンなどの販促も使えるようになる。
読み放題の名前は、2026年10月の KDP ヘルプでは「Kindle+」になっている。
米国では2026年10月22日に Kindle Unlimited を Kindle+ に改名すると Amazon が発表し、料金や借りられる冊数は変わらない改名だと報じられた。
日本の読者向けのサービス名と月額料金がいつ、どう変わったかは、今回確かめられなかった。
読み放題での分配は、KENP(Kindle Edition Normalized Pages)という、文字の大きさや判型の違いをならしたページ数で数える。
会員がある本のページを初めて読んだときだけ数えられ、読み返しは数えない。
分配の元手は「KDP セレクト グローバル基金」で、全会員が読んだページの合計に占める自分の本のページの割合で分ける。
1ページあたりの単価は固定ではなく、毎月変わる。
基金の額は毎月 KDP のフォーラムで発表されるとヘルプにある。
向く人・向かない人
向くのは、まず Amazon だけで売ってみて、読まれ方を見ながら続けたい人である。
値段を250〜1,650円に収められる、読み物中心の本なら70%の条件を満たしやすい。
一方、楽天 Kobo など他の電子書店でも同じ電子書籍を同時に売りたい人は、KDP セレクトに入れないので、日本では35%になる。
専門書のように1,650円を超える値を付けたい本も、70%の対象から外れる。
落とし穴
KDP セレクトの期間中に同じ電子書籍を他店や自分のサイトで売ると、独占の約束に反する。
自動更新を切り忘れると、次の90日も独占が続く。
紙版を出す場合、電子版の値段を紙版の8割以下にしておかないと70%が外れる。
写真や図の多い本はファイルが大きくなり、70%では配信コストがその分かさむ。
評価の分かれる点
読み放題に入れると、1冊売れたときより少ない額しか入らない読者が増えるのではないか、という見方がある。
逆に、買うほどではない読者にも読まれることで、知られる機会が増えるという見方もある。
1ページの単価が毎月変わるため、どちらが得かは本の長さと読まれ方しだいで、一概には言えない。
くらさんの考察
日本で70%を受け取るには KDP セレクトが前提なので、最初の1冊は登録して始める人が多いと考えられる。
90日ごとに見直せる約束なので、まず登録し、他店にも出したくなった時点で自動更新を切れば足りる。
ジージへの問いかけ
・1冊500円で売るのと、読み放題で読まれるのと、どちらがうれしいと思いますか
・最初の本は、250〜1,650円のどのあたりの値段を付けたいでしょうか
・Amazon 以外の電子書店にも出したい気持ちはありますか
出典
・KDP ヘルプ「電子書籍のロイヤリティ」 https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200644210
・KDP ヘルプ「電子書籍の価格設定」 https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200634500
・KDP ヘルプ「日本のマーケットプレイス (Amazon.co.jp) 向けの価格設定」 https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G201849770
・KDP ヘルプ「KDP セレクト」 https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200798990
・KDP ヘルプ「KDP セレクトへの登録」 https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/GD9PMU58BV24QFZ7
・KDP ヘルプ「Kindle+」 https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G201537300
・KDP ヘルプ「Kindle+ のロイヤリティ」 https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G201541130
・9to5Mac「Amazon unveils Kindle+ subscription, a rebrand with more audiobooks」 https://9to5mac.com/2026/10/22/amazon-unveils-kindle-subscription-a-rebrand-with-more-audiobooks/
この記事を読んで浮かんだ疑問は、運営者ジージが仕事QAでくらさんに質問し、答えをそこに載せていきます。