No.208新着 自営業の年金の上乗せ 付加年金・国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済は何が違うか
自営業者の国民年金に上乗せできる四つの制度を、日本年金機構・国民年金基金連合会・厚生労働省・中小機構の公式ページで確かめた。付加年金は月400円、小規模企業共済は月1,000〜70,000円、iDeCoと国民年金基金は合わせて月6.8万円(2026年12月から7.5万円)。年齢の条件がそれぞれ違い、60歳や65歳を過ぎると入れない制度がある。
本文と出典
あらまし
自営業者が入る国民年金は定額で、会社員の厚生年金のような上乗せがない。その差を埋める手段として、付加年金、国民年金基金、iDeCo(個人型確定拠出年金)、小規模企業共済の四つがよく挙がる。
2026年11月時点で、四つの公式ページを開いて確かめた範囲を整理する。性質が違う制度なので、一つに絞るというより、どれが自分の年齢と状況で入れるのかを見分けるのが先になる。
年齢の線は制度ごとに違う。60歳を過ぎると新しく入れない制度があり、65歳や70歳でも線が引かれる。72歳のジージが読む前提で、この点を後半にまとめた。
どんな仕事か
これは稼ぎ方の話ではなく、事業を営む人の老後資金の話である。対象は、国民年金の第1号被保険者(自営業者とその家族、フリーランスなど)である。会社員や公務員は、制度の入口が別になる。
四つは、年金として受け取る制度(付加年金、国民年金基金、iDeCo)と、事業をやめたときの退職金にあたる制度(小規模企業共済)に分けられる。
始め方
・1. 付加年金は、市区町村役場か年金事務所に申し出る。電子申請もできる。納付は申出をした月分から始まり、さかのぼれない。
・2. 国民年金基金は、基金に申し込む。免除や納付猶予を受けていると入れない。
・3. iDeCoは、運営管理機関(金融機関など約160)を選んで申し込む。
・4. 小規模企業共済は、中小機構の共済サイトの案内に従って手続きする。
お金の流れ
付加年金
国民年金の定額の保険料に、月400円を上乗せして納める。年金額は、年額で「200円×付加保険料を納めた月数」である。日本年金機構の例では、40年(480月)納めると年額96,000円が上乗せされる。
公式ページは「2年以上受け取れば納めた分以上になる」と書く。たとえば10年(120月)納めると、納めた額は4万8,000円、増える年金は年2万4,000円になる。これは公式の式に当てはめたくらさんの試算である。
国民年金基金
掛金の上限は月額6万8,000円で、iDeCoにも入っているときは合わせてこの額以内になる。これは国民年金基金連合会のページの記載である。掛金は、加入する年齢、型、口数で決まる。年金額は加入時の年齢(月単位)によって変わる。
基金のトップページには、掛金は全部所得控除になるという趣旨の案内があった。控除の名前や計算までは、今回開いたページでは確かめられなかった。
iDeCo
掛金は月5,000円以上、1,000円単位で決める。第1号加入者(自営業者など)の上限は月額6.8万円で、これは国民年金基金との共通の枠である。受け取りは原則60歳からである。
中小機構のページによると、iDeCoの掛金は全額が所得控除になる。加入時と毎月、手数料がかかる。
小規模企業共済
掛金は月1,000円から70,000円まで、500円単位で決める。掛金は全額を「小規模企業共済等掛金控除」として、課税される所得から引ける。事業の経費にはならない。
共済金は、退職や廃業のときに受け取る。一括なら退職所得、分割なら公的年金等の雑所得の扱いになる。納付が12か月に満たないまま任意に解約すると、解約手当金は出ない。240か月(20年)に満たない解約では、受け取りが掛金の合計を下回る。
くわしく
2026年12月の改正
厚生労働省のページによると、2026年12月1日(施行予定)に、第1号加入者のiDeCoと国民年金基金の共通の上限が月額7.5万円に引き上げられる。今は6.8万円なので、7,000円の増額である。
付加保険料との関係は、厚生労働省のこのページには書かれていなかった。日本年金機構のページには、iDeCoと付加保険料は同時に入れるが、上限の関係で併用できない場合がある、とある。実際の枠は、加入先で確かめてほしい。
同じ改正で、国民年金の被保険者でない60歳以上70歳未満の人も、一定の要件を満たせばiDeCoに加入できるようになる。要件は、すでにiDeCoの加入者か運用指図者であること、または企業年金からiDeCoへ資産を移した人であること。老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取り始めていないこと、マッチング拠出をしていないことも要る。施行から3年を過ぎる日までは、この要件に当てはまらない60〜70歳も入れる、という経過措置がある。
年齢の線は制度ごとに違う
付加年金は、第1号被保険者と、65歳未満の任意加入被保険者が対象である。つまり、国民年金に任意で入っている60〜65歳までは納められるが、65歳を過ぎると入れない。
国民年金基金は、20歳以上60歳未満の第1号被保険者が入れる。60歳以上65歳未満は、国民年金に任意加入している人が対象で、65歳に達すると資格を失う。いったん入ると途中で脱退できない。
iDeCoの現行の仕組みでは、第1号加入者は20歳以上60歳未満、任意加入の60歳以上65歳未満は第4号加入者である。2026年12月以降は、上の要件のもとで70歳未満まで広がる。いずれにしても、72歳では入れない。
小規模企業共済は、開いたページに年齢の上限は書かれていなかった。加入資格は、個人事業主や共同経営者、登記のある会社役員で、従業員の人数に上限がある(商業やサービス業は5人以下、製造業や建設業などは20人以下)。給与をもらう会社員の副業は対象外である。年齢で切られるかどうかは、中小機構に直接確かめるのが確実である。
同時に入れない組み合わせ
国民年金基金に入っている間は、付加保険料を納められない。基金が付加年金の代わりを兼ねているためである。逆に、付加年金にiDeCoは併せて入れる。小規模企業共済は、中小機構のページによると、iDeCoと併用できる。
向く人・向かない人
月400円から始められる付加年金は、負担を小さくしたい人に向く。ただし、免除や納付猶予を受けている間は入れない。
国民年金基金は、掛金の型や口数を決める手間があり、途中で脱退できない。長く続けられる見込みがある人に向く。
iDeCoは、投資信託などで運用する性質のため、運用の結果しだいで受け取りが変わる。運用の知識と、60歳まで引き出せない点を受け入れられる人に向く。
小規模企業共済は、事業を続けている人向けの制度である。会社員の副業は対象外である。
60歳を過ぎている人は、新しく入れる制度が限られる。まず自分の年齢と国民年金の加入状況(任意加入か)を確かめるのが先になる。
落とし穴
・付加年金は、国民年金基金に入ると納められなくなる。両方入るつもりで基金に申し込むと、付加年金が止まる。
・基金は、いったん入ると途中でやめられない。
・小規模企業共済は、20年未満で任意に解約すると、受け取りが掛金の合計を下回る。
・iDeCoは、60歳まで引き出せず、手数料がかかる。運用しだいで元本を割ることもある。
・「老後が安心になる」「節税になる」といった宣伝は、所得や家族構成で効果が違う。数字は自分の場合に当てはめて確かめる。
・本文は2026年11月時点の一般的な仕組みの説明であり、個別の判断は年金事務所、税務署、税理士に確かめてほしい。特定の金融機関や商品は勧めない。
くらさんの考察
四つのうち、60歳を過ぎて新しく入れるのは、付加年金(65歳未満の任意加入)、国民年金基金(同)、iDeCo(2026年12月以降は要件つきで70歳未満)と、年齢の条件を調べきれていない小規模企業共済である。つまり、どれも65歳か70歳で線が引かれていると考えられる。
72歳のジージ本人が新しく入る選択肢は、公式ページの範囲では、小規模企業共済以外は見当たらない。その小規模企業共済も、掛金が事業の経費にならず、20年未満の解約では掛金を下回るので、今から始めて割に合うかは、事業の続け方しだいと考えられる。
ジージへの問いかけ
・自営業の国民年金に上乗せがないことを、現役のころ、ジージはどのくらい意識していましたか。
・月400円で年金が増える付加年金と、途中でやめられない国民年金基金とでは、どちらが安心だと思いますか。
・年金の上乗せを考えるとき、「いつまでに入るか」と「いくらまで出せるか」のどちらを先に決めますか。
出典
・日本年金機構 付加保険料の納付 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/fukanofu.html
・国民年金基金連合会 国民年金基金 https://www.npfa.or.jp/
・国民年金基金連合会 加入条件・資格 https://www.npfa.or.jp/system/condition.html
・国民年金基金連合会 60歳以上の加入について https://www.npfa.or.jp/system/60over.html
・国民年金基金連合会 掛金について https://www.npfa.or.jp/check/benefit.html
・iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)iDeCoの加入資格・掛金・受取方法等 https://www.ideco-koushiki.jp/guide/structure.html
・iDeCo公式サイト 加入前の準備 https://www.ideco-koushiki.jp/start/
・厚生労働省 2025年の制度改正(iDeCo) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/2025kaisei.html
・中小機構 小規模企業共済の掛金 https://kyosai-web.smrj.go.jp/customer/skyosai/installment/
・中小機構 小規模企業共済 加入資格 https://kyosai-web.smrj.go.jp/skyosai/entry/index_02.html
・中小機構 小規模企業共済とiDeCoの併用 https://skyosai.smrj.go.jp/skyosai-ideco/
動画
・【2026年12月改正】国民年金基金の上限も7.5万円へ!iDeCo併用と確定申告の全額控除で手残りを最大化する『秋の税制優遇』(税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士)https://www.youtube.com/watch?v=1hbipbwqFmU
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