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No.203 インボイス制度と消費税 免税のまま続けるか、登録するか。2割特例は令和8年分で終わり、個人には3割特例

売上1,000万円以下の個人は消費税の免税事業者でいられるが、インボイスを出すには登録して課税事業者になる必要がある。登録した人の負担を軽くする2割特例は令和8年分で終わり、個人は令和9年分と10年分に3割特例が使える。お客が消費者中心か、事業者中心かで判断が分かれる。

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登録日時
2026年10月24日 09:49
出典を確かめた日
2026年10月24日
分野
始め方とお金
立場
事実・データ
タグ
インボイス新着確定申告・税金新着
道具・サービス
インボイス制度、適格請求書発行事業者、2割特例、3割特例、簡易課税
資料の種類
公的機関の解説
元手の目安
0円(登録は無料。登録後は消費税の納税が生じる)

本文と出典

あらまし

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は2023年10月に始まった。事業者が仕入れにかかった消費税を差し引く(仕入税額控除)には、原則として登録番号の入った請求書(インボイス)が要る。インボイスを出せるのは、税務署に登録した「インボイス発行事業者」だけで、登録すると売上が少なくても消費税の課税事業者になり、申告と納税が必要になる。自宅で小さく稼ぐ個人は、登録せず免税事業者のまま続けるか、登録するかを選ぶことになる。2026年4月の消費税法改正で負担軽減の仕組みが変わったので、2026年10月時点の国税庁の案内で確かめた内容をまとめる。

どんな仕事か

影響が大きいのは、事業者を相手にした仕事である。ライター、翻訳、デザイン、ホームページ制作などの受託では、発注元の会社が仕入税額控除のためにインボイスを求めることがある。反対に、メルカリや自分のネットショップで一般の消費者に売る場合、買い手は仕入税額控除をしないので、インボイスを求められることは少ない。Kindle の印税のように、取引の相手が海外の大きな事業者で、その会社の仕組みで課税が処理される場合もあり、自分の取引がどれに当たるかを個別に確かめる必要がある。

手続き

・1. 自分の基準期間(個人は前々年)の課税売上高を確かめる。1,000万円以下なら、登録しない限り原則として免税事業者である。
・2. お客が消費者中心か、事業者中心かを整理する。事業者のお客からインボイスを求められているかを確かめる。
・3. 登録する場合は、税務署に登録申請書を出す。
・4. 登録した年からは、消費税の確定申告をする。個人の申告期限は翌年3月31日である。

数字と計算の例

2割特例は、インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった人が、納める消費税を「売上にかかる消費税の2割」にできる仕組みである。国税庁の案内では、2割特例を使えるのは令和8年分の確定申告までである。たとえば消費税10%の仕事の売上が年330万円(税込み)なら、売上の消費税は30万円で、2割特例の納税額は6万円になる。
令和9年分と令和10年分は、個人事業者に限って「3割特例」が使える。納税額を売上の消費税の3割にできる仕組みで、基準期間(令和9年分なら令和7年、令和10年分なら令和8年)の課税売上高が1,000万円以下で、インボイス登録をしていることが主な条件である。法人は対象外である。上の例なら納税額は9万円になる。
その先は、一般の計算か簡易課税になる。簡易課税は、売上の消費税に業種ごとの「みなし仕入率」を掛けた額を差し引く方法で、たとえば小売業は80%、サービス業は50%、卸売業、小売業、製造業、サービス業などのどれにも当たらない「その他」は60%である。2割特例か3割特例を使った翌年であれば、その年の申告期限までに簡易課税の届出を出せば、その年から簡易課税に移れる。
仕入れる側の経過措置も縮んでいく。免税事業者など登録していない相手からの仕入れでも、一定割合を控除できる措置があり、その割合は令和8年10月1日に80%から70%に下がった。令和10年10月から50%、令和12年10月から30%になり、令和13年10月からは控除できなくなる。発注元にとっては、免税事業者に頼むほど税の負担が増える流れである。

登録するかどうかの考え方

お客がほぼ消費者なら、登録しないで免税事業者のままでいる選択が取りやすい。登録すると、売上が少なくても毎年消費税を納め、申告の手間も増えるからである。お客が事業者中心で、インボイスがないと取引を続けにくい場合は、登録して2割特例や3割特例を使う道がある。値下げを求められて免税のまま続けるのと、登録して納税するのと、どちらの手取りが多いかを数字で比べるのが基本になる。

向く人・向かない人

シニアがネット販売で消費者に売るなら、登録しない形でも困らない場面が多い。受託の仕事で会社と取引する人は、取引先の方針を先に確かめたい。消費税の計算と申告は所得税とは別の手続きで、慣れないうちは会計ソフトや税理士の助けを借りたほうが間違いが少ない。

落とし穴

登録すると、売上が1,000万円以下でも消費税の申告と納税が毎年続く。2割特例の終わりを知らずに令和9年分も同じ計算をすると、納税額を誤る。簡易課税は選んだら原則2年間続ける必要がある。判断に迷うときは税務署やインボイスの相談窓口、税理士に確かめる。

くらさんの考察

2割特例が終わっても3割特例が2年間続くため、登録した個人の負担が一気に重くなるわけではない。むしろ影響が大きいのは、仕入れる側の控除割合が段階的に下がることで、取引先が免税事業者への発注を見直す圧力が年々強まると考えられる。消費者に売る仕事と事業者から請け負う仕事を両方している人は、どちらの売上が多いかで判断が分かれるので、毎年見直すのがよい。

ジージへの問いかけ

・ジージが始めたい仕事は、お客が一般の消費者でしょうか、それとも会社でしょうか。
・売上の3割を消費税として納める3割特例は、免税のまま値引きを求められるのと比べて、受け入れやすいと思いますか。
・消費税の申告を毎年続ける手間を、取引を続けるための費用と考えられますか。

出典

・国税庁 インボイス制度特設サイト 令和8年度税制改正特集 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm
・国税庁 リーフレット「インボイス制度に関するお知らせ 令和8年度税制改正特集」(令和8年9月) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0026004-066_01.pdf
・国税庁 2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/01.htm
・国税庁 2割特例 特設ページ https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_2tokurei.htm
・国税庁 消費税法改正のお知らせ(令和8年4月) https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/r08kaisei.pdf

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